杜の木漏れ日

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横綱たちの潜む森~けやき公園の知られざる魅力 (地元紙寄稿)

横綱たちの潜む森
(クリックで拡大できます)

今朝の地元紙に拙文が掲載されました。
2月20日は能代第一次大火のあった日ですが(昭和24年)、それに合わせて書いたものです。
原文と写真を下記にご紹介します。

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「横綱たちの潜む森~けやき公園の知られざる魅力」  
         
能代の街を歩くと、至る所で大きな木と出会います。二度の大火に遭いながらも街並みに風格を感じるのは、こうした木々が残っているからかもしれません。大木の中には「能代の古木・名木」となっているものもありますが、看板の由来を目にする度に、木々への畏敬の念が高まります。 

「けやき公園の横綱」 
「能代の古木・名木」には、神社やお寺、街道の木など、30点ほどの樹木が選定されています。この中には「西光寺のツキノキ」(現けやき公園の大ケヤキ)がありますが、市役所のすぐ隣にある木なので、目にされた方も多いことでしょう。樹高にして20m、枝張りは30m近くあるでしょうか。大きく前傾しながら枝を広げる姿は壮観で、この木を支える根の力強さにも驚かされます。
2000年の環境省巨樹調査では胸高周囲6m65㎝と記録されていますが、これは、大人4人が手を繋いでも届かない大きさで、園内でも横綱級の威容を誇ります。
巨樹巡りの人気スポットにもなっているため、全国から訪れる人も多いようです。

写真1 「能代の古木・名木」に選ばれる「西光寺跡のツキノキ(けやき)」(けやき公園)
写真1  「能代の古木・名木」に選ばれる「西光寺跡のツキノキ(けやき)」(けやき公園)
         
「お寺を守った最前線のケヤキ」 
第四庁舎向いの公園駐車場に行くと、その並びのほとんどのケヤキが一様に傷んでいることに気付きます。幹に大きな縦裂が入り、空洞化した内部が黒く焼け焦げているのです。能代第一次大火(昭和24年2月20日)ではここで火が止まったそうですが、この木たちが最前線となって、お寺や背後の街を守ってくれたのでしょう。
木が大きくなると下枝は枯れていくものですが、不思議なことに、この木たちは根元近くから多くの下枝を出しています。これは、火災で枝葉の多くを焼失した木が、早く樹勢を回復しようと出したものかもしれません。
けやき公園の森は樹高20mを超えますが、背の高い木ほど風の抵抗を受けます。上体が反り返りながらも風に耐えられたのは、必死の思いで作った養分で割れた幹を太らせ、下枝を大きく前方に伸ばすことでバランスを取ってきたからです。
倒れまいと踏ん張ってきたこの木たちを見ると、生きる力が湧いてきます。傷付きながらも、そこに凛として立ち続ける木の姿は、多くの人たちに希望を与えたことでしょう。この木の傷や再生した姿には、幾多の災害から街を再生させてきた、能代の底力を見るようです。

写真2 写真 2 大火からお寺を守った最前線のケヤキたち。木のたくましい生命力が、街を復興した能代の底力と重なる(第4庁舎向かい) 写真3 幹が縦裂し、空洞化した内部に焼け焦げが見られる(けやき公園北側外周のケヤキ)
写真2 大火からお寺を守った最前線のケヤキたち。木のたくましい生命力が、街を復興した能代の底力と重なる(第4庁舎向かい)
写真3  幹が縦裂し、空洞化した内部に焼け焦げが見られる(けやき公園北側外周のケヤキ)

「奇跡の街路樹」
昭和60年12月の市広報には「街路樹として残るケヤキ」という記事があり、樹齢300年を超えるお寺の木を街路樹として保存することが記されています。それが今の国道101号の大木の街路樹で、この木たちを残すために道路が膨らんでいます。
歩道に林立する風格ある木々は、始めから車道に沿って植えたかのように一直線に並んでいますが、もともと街路樹でなかったものが直線になっているということは、奇跡に近いことです。これは、街並みに違和感が出ないよう、木々と車歩道を平行に配置した、当時の方々の苦労と工夫の賜物です。
能代の街路樹は大火の復興として植えられたため、古い物でも樹齢70年程度。それを思うと、この300年超の街路樹は別格の存在です。幹周は最大のもので3m60㎝あり、このような大木が整然と街なかに並ぶ姿は、全国でも例を見ません。もし、日本の街路樹に番付があるとすれば、間違いなく横綱を張れるだけの風格と品位を、この木々たちは備えています。能代の別格は、全国でも別格なのです。

写真 4 車歩道と直線に並ぶ樹齢300年の街路樹。中心市街地に整列する大木の街路樹は、全国でも珍しい。(国道101号)
写真4 車歩道と直線に並ぶ樹齢300年の街路樹。中心市街地に整列する大木の街路樹は、全国でも珍しい。(国道101号)

「緑の価値に気づき、守り、活かす」
「能代の古木・名木」が選定されたのは昭和57年ですが、けやき公園が今の形になったのは平成5年。前述の2つの樹木群は選定後に価値の出てきたものです。
大火から60年、公園整備から20年が経ち、その由来が忘れられてきています。この機会に追加登録するなどして、貴重な樹木の周知を図っていただきたいと思っています。能代公園のケヤキの巨樹(幹周13m95cm環境省調べ)なども、幹周では全国のベスト10に入ります。こうした古木を活かした観光も、これからはされていくべきでしょう。
古木は、新たに作らなくても元々そこにあり、年月が経てば経つほどに価値が増していくものです。能代の歴史を見てきた木々を、大切に守っていきましょう。            
 
※「緑の価値に気づき、守り、活かす」は、能代市緑の基本計画の基本理念です。              




                

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