杜の木漏れ日

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落葉樹の移植

現場では、雪解けの早い所から樹木の移植を始めています。
落葉樹の移植は、木に負担の掛からない芽吹き前が最適期。
剪定同様に、根を切られる移植もまた、木にとっては外科手術となります。
手術は木の生死にかかわることなので、できるかぎり、木の都合に合わせた時期に行っています。

移植前 1

移植前です。
掘り取り作業で枝を傷めないよう、縄で枝を枝折ります。

移植 掘り取り始め 2

直径10㎝ほどのニシキギを掘り取り、矢印の方向に1mほど動かします。

移植 一回り掘り3

樹木を堀り取る時の根の形を根鉢と言いますが、この根鉢の大きさは根際の幹直径の7~8倍程度が目安と言われています(赤色の円)。
しかし、植えてからの年数がかなり経過している木は養分を吸い上げる細根が幹の近くに無いことが多く、そうした根を残しながら、少し大きめに掘っていきます。

移植 縦掘り4 移植 悪い切り方5

ただ、あまり大きく掘ると移動する際に根の自重で根鉢が崩れることがあり、掘り取りが一周りしたら、今度は適当な大きさになるまで、根鉢を狭めていきます。
通常の堀り取りではスコップを根に垂直に当てて掘っていきますが、ここでは根を切らないように、根に平行な角度でスコップを入れていきます。

移植 根の切り直し6

でも、いくら注意しても、土の中にある見えない根を傷つけずに掘るのは不可能。
傷付けた根は病原菌が入りやすくなるため、細根のある所できちんと切り直します。

移植 根の枝折7

根を広く残すのは木にとってはいいのですが、植え場所が狭い時などは、残した根を縄で枝折るなどして、あまり幅を出さないようにします。

移植 移動8

移植と言えば、コモなどで「根巻」した姿をイメージされると思いますが、庭の中で短距離移動させる時などは根巻を行わず、そのまま移動することもあります。
移植場所は石と垣根の間の狭い場所ですが、なんとか収まりました。

移植 地下支柱9

樹木の植付や移植の際は、通常、倒木防止のために支柱を取り付けますが、地上部の支柱は景観を損ないます。
また、根は適度な振動により伸長することから、今回は竹の「地下支柱」を採用しました。
ワイヤーや金具でがっちり止める方法もありますが、自然素材の竹は、やがて土に還るのが魅力です。
この方法は、埼玉県の 山口庭園さんの工法を参考に行いました。

移植 土ぎめ 10

寒い時期に水やりはできないため、棒で土を突き固める「土ぎめ」で植付けます。

移植完了11

整地して、植付け終了。
庭にあった柿の木の幹を活用、根回りの土留めにしました。

移植完成12

これで、移植の完了です。
同時に動かしたモミジと組み合わせて植えました。
周りの木々との調整などで多少の剪定を行いましたが、このぐらい根を残すと、剪定も必要ないように思います。
移植の際に、切られた根とのバランスを取るために枝葉を減らしたりしますが、光合成で養分を作る葉が少なくなるということは、移植によって弱まる樹勢を回復する力も少なくなるということです。
移植をする時は、できるだけ多くの根を残し、枝葉を剪定しなくてもよいように心がけています。


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