緑の提案をしよう!

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植物の研究で名高い工藤茂美先生の著書に、「五能線沿線と白神山地の植物(秋田魁新報社刊)」という本がある。
ありがたいことに、昨日伺ったお施主さんから、進呈いただいた。

白神山地が世界遺産に登録されたのは平成5年で、昨年がその20周年の年。
白神山地を縦断する青秋林道の建設が始まったのが昭和57年。
その後に反対運動が起こり、中止されたのが平成2年のこと。
この本は昭和62年の発行だから、そんな最中に書かれた本ということになる。

本の前書きにも、貴重な原生林を残してほしいという切実な願いが綴られている。
だが、先生はここで、「自然を愛するものは人と争わないことを信条とする」と書かれている。
街路樹のブツ切りを阻止するため、役所に戦いを挑み続けてきた感のある自身の活動を顧みて、胸に突き刺さるような一言だった。

白神山地がどれだけ素晴らしいかがわかるこの本が出ることは、白神山地の保護を訴え、林道建設に反対する人たちにとって,大きな力になったことだろう。
また、その素晴らしさを伝えることで、市民県民に保護への理解を広めることにもなったと思う。
そして、建設を主導する県や国への、平和的なアピールにもなっただろう。
人とは争わないけれど、戦いは好まないけれど、文化的で平和的な、心の戦いだったのではないかと思う。

でもやはり、戦っている人はいるわけで、戦わなければならない時もある。
相手の理解が無い時は、戦わなくてはならない状況に置かれることもあり、誰かが前線で戦わなければならない。
行政も、反対が無ければ、方針を変えることができない。
自分で気付いても、市民の反対という大義名分が無ければ、行政は方針転換ができない。

能代が街路樹の方針を変えるまでの3年は、戦っているとか争っているという意識は無く、ただ街の木を守りたかった。
そのために、街の木の役割を伝え、適正な管理方法を提案し、街の緑を文化にするための啓発をしてきた。
そして今、全国誌で街路樹の連載を書き、同業の意識向上を求められている。

悲惨な街路樹に心を痛め、何とかしたいと思う人は全国にたくさんいる。
でもやはり、争いや戦いは望まず、否定や非難はしたくない、そうした矢面には立ちたくないという人もいるだろう。
できれば、平和的に、文化的に解決したいと思う人の方が多いはずだ。

そんな時は、提案すればいいと思う。
どうすれば、街の木が良くなるかの、建設的な提案を、自分の街にすればいい。
そしてそれを、自分でやって見せればいい。
やって、見せること。
それが、有無を言わさぬ職人の提案になる。
否定や非難ではなく、前向きな提案を実践して見せるのだ。
そんな動きが、全国に出てくることを願っている。

専門誌の連載は「街路樹礼賛」というタイトルなので、最終回は、文化的に閉めている。
でも、最後に言いたかったことは、これだ。
自分の街の、ふるさとの木を守るために、緑の提案をしてみよう!

前回の「戯言」で書いた「書く者の悩み」が消えた。
こんなことを思わせてくれた、工藤先生に感謝。

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