校庭の木々に見る、仁鮒小学校の価値 (緑の展示から)

旧仁鮒小学校での緑の展示は、校庭の三本古木桜の保存を願うものでしたが、今回、校舎を見学してみて、桜ばかりではなく、校庭全体の植栽で気付いたことがありました。
最終日となった昨日、そのことについて書いた文も新たに追加しましたので、写真と併せて紹介したいと思います。

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ーー「校庭の木々に見る、仁鮒小学校の価値 ~緑と共生するパッシブデザインの学び舎~」

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仁鮒小学校を歩いていて、あることに気付いた。
大きな樹木が、校舎に寄り添うように、建物を包み込むようにして植えられているのだ。 
                                                        
中から見ると、桜の木も松の木も、教室や廊下の目の前にある。
ここでは、歩きながら、座りながら、1階にいても2階にいても、緑の潤いを間近で感じることができる。  
太い幹の質感や葉っぱの一枚一枚、その葉脈まで見て取れるほど、木々との距離が近い。
これほど樹木と校舎が接近している学校は、あまり見たことが無い。 

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校門から見ると、玄関部分だけを開けて、両側に黒松の大木が並ぶ。 
校舎の外壁や窓は緑に覆われて、緑の中に学び舎がある。
 まるで、森の中に建てたかのような、そんな錯覚を覚える。

校舎を包む緑は、どの教室からも見える。
そして、その枝葉越しに、周囲の山々やふるさとの街並みが見える。 
校庭の木が、街の木と繋がり、きみまち阪や白神山地へと繋がる。 
教室に居ながらにして、目の前の木々が、はるか遠くの山並みまで誘ってくれる。
この校庭の木たちは、そんな、景色を繋ぐ力を持っている。                                                 
先人は、神社やお寺に木を植え、学校にも木を植えていった。
校舎を取り巻く木の植え方に気付いた時、これは、木を植えて社を守る、神社の木の植え方に似ていると思った。 
小高い所に建てられた立地も、自然災害から守るための工夫なのかもしれない。 

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屋根よりも高い木々は、大きな木陰を作り、そよ風を呼び込む。
それは、建物の中へと涼をもたらし、子どもたちを熱から守る。
この学び舎を建てた先人たちは、樹木が、天然の空調装置であることを知っていたのだろう。  
樹木と共生することが、人の暮らしに快適さをもたらすことを、彼らは知っていたに違いない。    
自然の力を上手に借りること。
今で言う、「パッシブデザイン」の発想が、この学び舎にはある。
仁鮒小は、自然と共生する、最先端の校舎だったのかもしれない。

高い建物は、低地よりも風の影響を受ける。
ここは、米代川にほど近い。
校舎を囲う樹木は、屋敷林のように、川風や吹雪から家を守る、「冬囲い」の役目もしていたことだろう。  
 
ここにある大きな木たちは、ほとんどが自然な形をしている。
木を剪定して形作ると、その時はきれいでも、すぐ枝が伸びて、樹形が乱れる。
きれいに手入れされた姿が、本来の松の姿ではない。 
木が伸びたいように伸び、枝を広げることができたから、森の雰囲気が増し、緑の効果が生まれた。   
樹木の自然性を尊重すると、木も人も快適に過ごせる。 
木を自然な姿にしておくことは、維持管理が最小限ですむということでもある。    
先人は,後のことを考えて、手の掛からない姿にしてくれたのかもしれない。     
                                    
緑の潤いや景観、樹木がつくりだす微気候、そして、風から建物を守る役目・・・。   
この学び舎の木々の有り様には、樹木の力を最大限に活かそうとした、先人の知恵と工夫があふれている。

2014年8月14日 福岡 徹
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校舎に展示されていた、小学校の全景です。
小高い所にある緑に囲まれたこの校舎を見た時、神社のようだと思いました。
立地もそうですが、建物を守るように植えられている樹木を見て、そんなイメージを持ったのです。
こうした作りや雰囲気を持つ校舎は、市内ではあまり見たことがありません。
天然秋田杉の校舎も貴重ですが、この校庭の植栽法もまた素晴らしい。
今後の学校づくりのお手本となるような景観です。

ふだん何げなく見ている景色の中にも、これまで気付かなかった意外な価値が隠されていることがあります。
能代市緑の基本計画の理念は、「緑の価値に気付き、守り、活かす」。
理念に即した、残すべき緑だと感じています。

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