監督検査
今度は前庭のアプローチづくりですが、天気に恵まれたこともあり、あっ!と言う間に完成です。
はかどったのは嬉しいですが、かわいい娘たちが嫁入りした庭は、なんだか離れがたいものがありますね。
ということで、お庭のお披露目です。

四角い玄関のポーチに合わせて、四角いミカゲ石で繋いでいきます。
一番手前の長い石は他の切石とちょっと色が違いますが、これは年季の違いです。
思えばこのミカゲの切石は、15年前に石屋さんの廃材置き場から譲り受けた物で、1人でコンコンとビシャン掛けして作ったもの、とっておきの庭に使おうと思っていたら15年も取って置かれてしまったいう逸品?です(笑)。
ということで、今回、めでたく15で嫁に行きました。

主庭同様に平らな石が多いのですが、これもまたプランターを置くための台です。
若い頃は、お茶をやられないお宅に蹲踞を作っては、役石に植木鉢を置かれて悔しい思いをしたものですが、最近はちょっと頭も柔らかくなったのか、「だったら始めから鉢を置くための場所を作ってあげよう!」と思うようになりました。
完成の翌日にはこうなっていましたので、ご家族も楽しんでくれているのでしょうか。
台石の高低や鉢の形に合わせて置き場所を考えるのもまた、楽しいのではないかと思います。

アプローチの脇には水たまりの石を。
水鉢ではなく、「水たまり」です(笑)。
今回使った石は全て寒風石ですが、寒風石でこのようにくぼみのある石は少ないのです。
本当は、ここには山のような形の景石が据えられる予定でしたが、いざ現場でこの石を吊り上げてみると、「あれ、なんかこの石、底がくぼんでないかい?」ということで、ひっくり返して水を入れてみたら、「おー、なかなかいいじゃない!」ということで、こんな風におさまりました。
いつもながらかなりいいかげんですが、「良い加減ならいいじゃない!」という感じです(笑)。
水鉢の脇で紅葉しているのは、ご家族が登山の際に拾ってきたドングリが芽吹いたというミズナラです。
1本だけでは寂しいので、大きなミズナラを3本植えて、玄関をミズナラの森にしよう!という企みです。

ちなみに、これは今回採石場で見つけた水鉢。
本当に貴重なので、見つけた時はもう、歓喜でした。
この現場は採石場まで15分で行けるという絶好の場所にあるのですが、作庭中、4回ほど石選びに行って、最後の最後に偶然見つけたものです。
主庭の水鉢と形が似ているので今回は使いませんでしたが、いつかこの色白美人が嫁に行く日も来るでしょう。
ミカゲのように取って置きにならないことを祈ります(笑)。

主庭のテラスには石のテーブルがあるのですが、先週、庭の検査に来た監督(妻子)曰く、「なんか硬い。勉強机みたいだね。」。
うむ。なかなか鋭いことを言うではないか(でもちょっとは庭をほめておくれよ・涙)。
確かにこのテーブル、石質は周りの石と同じでも、形がちょっと機械的というか動きが無いというか、パソコンでも乗せたくなるような感じなのです。
このテーブルもまた当初の予定には無いものでしたが、「ベンチがあるならテーブルもあったほうが絶対楽しいよな。」という作者の思い付きで、残った石をなんとなく仮置きしていたものでした。
いい石を見つけたら取り替えようと思いつつも、「ある程度の高さがある動きのある石で、石組みとしても眺められ、しかも天端が平らでこの場所にハマるもの、さらに、加工していない地産の自然石」、これ、口で言うのは簡単なのですが、いざとなるとジャストフィットな石というのはなかなか無いものなのです。
人も素材も出会いが大切。
そんなわけなので、上の水鉢のように、今は使わなくてもいつかの時のために、見初めた時に口説いて?おかなければならないのです(笑)。

ということで、半日石山を探して、10,000個の中から選んだテーブルです。
石山に行く途中には、「ま、いいか その妥協が事故の元(確かこんな感じでした)。」という交通標語があるのですが、「ま、いいか。」で済ましていると後々必ず後悔します。
事故ではなく作庭者としての自己の問題ですが、庭に時効は無いので、そのままにしているといつまでも罪悪感が付きまといます。
妻子に指摘されてからというもの、日に日に「勉強机、勉強机、勉強机…。ま、いいか。ま、いいか。ま、いいか…」という言葉がエコー付きで耳に響いてきていたのですが、これでようやくこの言葉から開放されました(笑)。

というわけで、昨日、監督に再検査をお願いしました。
無事、コーヒーがこぼれることなく一服することができ、監督さんも納得です。
これで、めでたくテーブル納品となりました(笑)。
ということで、今回は監督さんがモデルです・・・。

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