杜の木漏れ日

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空間調整の工夫(落葉高木のスペース配分)

除雪もひと段落したところで、今週は落葉樹の冬季剪定に伺っています。

剪定前トップ

モミジや梅の木、モクレンやイチョウなど、落葉高木が主体の庭です。
ほとんどが1階の屋根よりも高いので、夏場はとても気持ちの良い木陰ができていることでしょう。
木陰を確保するためには広い枝張りを残したいところですが、枝の伸び方が違う種々の木同士が接近しすぎると、本来は横方向に伸びる枝が、上方に向きを変えて伸びるといったことが起こります。

鳥海山のブナ林 公園のケヤキ

写真は、鳥海山のブナ林と、能代市内にある大きなケヤキの森の公園を下から眺めたところですが、同じ樹種が群生する天然の森や年数の経った人工の森は、枝同士が空間を分け合うため、とても穏やかな姿をしています。
それに比べて、限られた空間に、性質の違う多種類の木を植えた所では、樹木の成長と共に枝同士がぶつかり合ったりということも起こるので、木々を自然に近い姿で共存させられるように、剪定によって樹木間の空間調整をしていきます。

森の植生は、そこで共存できる木々が集まり、互いに競合しながらも、バランスを取り合っています。
日が当たらなければ日の当たる方に枝を伸ばし、伸びたい上方に大きな木があれば、それを避けて伸びるのが木の生理で、これは山でも庭でも同じこと。
そんな自然界のバランスを参考に、木々がこの庭で生きやすいような姿にしてあげるのが、今回の剪定の目的です。

剪定後1

剪定後。
木々のやわらかな姿を活かすため、野透かしで枝を抜き、木と木の間や1本の木の中にも空間をつくっていきます。

立面図(側面)

葉っぱが付いていないとわかりにくいので、図にしてみます。
手前左が梅の木で、向かいにモミジ、その後方にモクレン、そして、一番奥に、この庭で一番背の高いイチョウの木があります。

DSCN9741.jpg

上から見た時の、枝張りの広さや形のイメージです。

剪定後 (5)

左がイチョウで、右が梅の木。
イチョウの下枝と梅の木が同じぐらいの高さにありますが、まだこの枝同士には空間があるので、どちらも切らずに残しています。
今後、イチョウと梅の枝が接触しそうになった時などは、ウメの樹高を少し下げて、その上に、イチョウの枝が伸びて行くようなイメージで、木々を導いていく予定です。

剪定後 (3)

上の写真の位置から少し視線を下げると、梅の木の下にはモクレンが見えます。
(赤線の楕円が梅、黄色がモクレン、緑がモミジの枝張りの範囲)
モクレンは、手前に梅の木があるので、枝を伸ばせるのは左右や上方。
モクレンの右側にはモミジがありますが、端正なモクレンの樹形を活かすために、モクレンと接する左側半分の樹高を多少下げて、空間のある右側上空に枝を伸ばしていけるよう、導いていきます。

立面図

図にすると、ちょうどこんなイメージです。

剪定前

剪定前に、下から見上げた時の様子。

剪定後

剪定後。
お互いを縮小したり、片側だけを縮小してもう一方を伸ばしたりなど、平面・立体の空間バランスを考えながら、剪定しています。

剪定後 (2)

下から見ると、それぞれの木々の枝が重なっているように見えますが、側面から見ると、枝同士は接触しておらず、互いの木の空いた空間に入り込んでいるのがわかります。

角館の桜並木

写真は角館の桜並木ですが、この並木の木々は、向かい合う木の枝を交差させながら、空いた空間に伸ばせるだけ伸ばしてます。
このような、木々が連続する所では、並木という全体景観として見るため、1本の木の形はそれほど気にならなくなります。
こちらの庭でも、ある程度の樹冠(木の外観の輪郭)は考えつつも、庭という全体空間の中で、木々がそれぞれのバランスを取れていければいいと思っています。


木を大きくしないようにコンパクトな姿で維持するのが一般的ですが、空間構成の工夫をすることで、大きな木を庭に存在させてあげることはできる。
大きくなる木は、緑の効果を楽しむためにも、できるだけ自然な姿で、大きく育ててあげたいものですね。

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