十和田市の桜並木に学ぶ~街路樹としてのソメイヨシノを考える~

ソメイヨシノは、樹齢60年程度と言われていますが、その樹齢に近づいた木の移植や、今後、予算を掛けて手を入れるべきかどうかという相談をよく受けます。
そんな中で、昨年は、樹齢80年を超える桜の木について、保存するべきかどうかという話がありました。
しばらく手を入れていなかったことから、テングス病が付き、ツルが絡まった状態でしたが、樹木医さんの見立てでは、「この木はまだまだ生きる力を持っている。手入れ次第では長生きする」」との話があり、保存の方向に向かったということがありました。
この木は校庭に植えられた木だったので、土壌条件が良かったということもあるかもしれません。
そこで思ったのが、では街路樹などの、制約のある所に植えられたソメイヨシノではどうなのだろうということでした。

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いろいろと事例を探して見たところ、以前、「巨木の街路樹写真展」を開催した際、青森県十和田市にある桜並木を紹介したことを思い出しました。
この桜並木は官庁街通りにあり、二車線道路に面した歩道帯を挟んで、赤松並木と共に4列の並木を形成していますが、交通量の多い中心市街地にあって、本来は6車線分の道路を作れる幅を持ちながらも、その半分以上を歩行者と緑のためのスペースに割いています。

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「日本の道百選」にも選ばれ、桜の観光地としても有名な所ですが、この桜並木で注目したいのは、歩道自体が1車線分以上の広さを持ち、木々が健康に生育できるスペースや条件を備えていること。

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隣地は公園で上空には電線も無いため、木々が伸び伸びと枝を伸ばせる状態にあり、根回りの土の面積も広く取られているので、根上がりの心配も無い。
街路樹でありながら、公園の木のような環境を与えられています。
歩道の路盤からは草が生えてきていましたが、おそらくこの路盤も透水性のあるもので、雨と共に、根に酸素が行き渡れるようになっていることでしょう。

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桜並木の樹種はソメイヨシノで、樹齢は80年~100年とのこと。
ソメイヨシノの寿命の定説を考えると、街路樹という制約の多い環境にありながら、100年近く良好な状態を保てているということは、奇跡に近いことかもしれません。

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樹木は高齢になると幹の空洞化なども起こりますが、そうした時、木は幹内部から不定根と呼ばれる根を発生させ、それを地中まで降ろして、養分を取り込もうとします。
左の写真は、桜日本一の弘前公園にある空洞化した幹の不定根ですが、これは、園内の桜を管理する樹木医さんによって治療が行われ、樹勢が回復してきたものです。
十和田市の桜並木にも、これらと同様の治療が行われているものがあり(真ん中)、剪定の切り口(右)などを見ても、組織が再生しやすい対処がなされています。

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ちょうど、並木の途中に市役所があったことから、担当課の方に聞いてみたところ、やはりこの並木にも、樹木医が関わっているようでした。

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青森県は桜に関する樹木医のレベルが高く、桜管理のフォーラムなども盛んに行われ、全国から専門家が学びに来るような土地柄。
昨年も、青森市の樹木医さんと話しをする機会がありましたが、「ソメイヨシノは樹齢が50年を超える頃から樹勢が衰えてくるが、土壌改良や手入れなど、木が良好に育てる条件を整えてあげれば、寿命などあってないようなもの。」と言われていました。
それは、100歳を超えるソメイヨシノが300本以上生き残っている、弘前公園の例を見ても明らかです。

弘前公園の技

樹勢の衰えた老枝を切り、若枝に更新させて木の若返りを図るという弘前方式の技は、「桜切るバカ」の常識を覆したばかりか、「ソメイヨシノの寿命60年」の定説をも覆しました。
奇跡と思われることも、木を生かそうと思い、愛情を持って生かすためのことをしていけば、奇跡ではなくなる。
様々な制約を受ける街路樹のソメイヨシノでも、それは同じこと。
そうしたことを、この十和田市の桜並木が教えてくれています。

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