杜の木漏れ日

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植木屋にできること

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昨日は、5年前に施工させていただいた公共施設の樹木を点検。
植栽後、毎年適期に点検を行い、施肥のアドバイスや枯枝の奉仕剪定を行うなどしてきましたが、今年は大雪の影響もあり、支柱が外れたり傷んだりしている箇所が多く、管理者の方に撤去をお願いしました。

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植栽支柱は、一般的に倒木防止の措置として取り付けますが、長く放置しておくと、成長して太った幹や枝が結束縄で締めつけられ、養水分の流通ができなくなったり、支柱自体が幹に食い込んでしまうなどのことが起こるなど、損傷部の上部が枯れたり、異様に肥大してしまうこともあります。

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また、倒壊した支柱は景観的にも見苦しく、倒れた支柱に付いた古釘を踏んだりすれば大怪我にも繋がるため、市民の安全のためにも、早期に解体撤去することが必要です。

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写真は、以前に街路樹剪定を行った時、剪定対象となっていない木の倒壊支柱を外させてもらった時のものですが、受注した業務に無くても、安全に関わるような緊急なことは、植木屋の側から指摘して取り外すなどの姿勢が大切です。

公共工事では、工事の課と管理の課が違うことが多く、担当の方も数年で移動になります。
そのため、植栽後数年経ってから行なう支柱の取り外しなどは引継ぎが難しいという状況があり、そうした時のためにも、植木屋の側が随時点検観察し、必要な措置をお知らせするなどすれば、樹木の損傷や事故を未然に防ぐことができます。

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写真は、先日見かけた公共植栽ですが、植えた木よりも大きな支柱が気になります。

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無駄に長い支柱は、枝が風で支柱に叩きつけられるなどして傷むため、最上部の結束点の上で切れば良いのですが、公共工事ではそのまま残されることが多いようです。
また、枝に接するような掛け方をした時なども、支柱で枝が擦れて傷みます。
こうしたことは植付け時に予測できることなので、施工業者も担当課も、木の成長を見越した検査を行わなければなりません。

個人の庭でこんなことをしたら、目の肥えた施主さんなどは怒ります。
公園や街路樹など、公の樹木は万人のためのもの。
剪定も然り、個人庭と同じレベルで木を見てあげれば、公共造園のレベルも上がるのではないかと思っています。

※参考 支柱の効用と害 

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5年前の竣工時。
この時の仕様書には、樹木の健全成長や景観を阻害しない支柱の掛け方がかなり細かく記載されていました。
樹木と支柱の竹、竹と竹の結束はシュロ縄巻きになっていますが、通常、竹と竹を結束する時など、公共工事では鉄線巻きです。
その方が頑丈で強度も高いのですが、あまりガッチリと固定させると木が振動せず、根の発根が促されないということもある。
倒木による事故防止のために支柱は付けますが、この時は、多少の緩みを持たせるということもしました。
もちろん、長い支柱は不要なので、結束点の上部で切る。
幹と竹の結束には杉皮を巻きますが、杉皮も、無駄が出ないように、木の大きさに合わせたサイズに調整する。
木の大きさや曲がりは1本1本みな違うので、掛ける位置なども、その木に合わせる。

なんでもない支柱に見えますが、そうした仕様書の内容を、現場の木に合わせて掛けました。
実はこうした仕様書も、数年前、適正な支柱の掛け方を市長さんに提案、支柱講習会で実演するなどしたところ、その後の植栽工事に採り入れられるようになり、それを自分の仕事として行うことができたという、なんとも嬉しい出来事です。

小さなことですが、公共緑化では大きな一歩です。
どうしたら木のためになるかを考え、それを提案して実現するということも、植木屋冥利に尽きること。
こうしたことも、植木屋の側からできることですね。

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写真は、この現場の木を植える時のものですが、造成地なので水はけが悪く、植穴を掘った段階で水を流してみたところ、まったく引かない状況でした。
雪解け後すぐの工事で土壌調査をする間も無く、今さら排水改良を行う予算も無い。

さてどうする。
このまま木を植えても、そのうち根腐れで枯れる。
何かないかと見回すと、目の前には、土中からたくさん出てくる石と、支柱を切った残りの細竹。
でもこれも、使い様によっては宝の山になるかもしれない。

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なんとかなるかもしれないと担当課の方に提案し、やらせていただいたのがこの暗渠でした。

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竹を束にして、その隙間に水を通し、法面まで水を誘導するという仕掛け。

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雨上がりに見に行ったら、ちゃんと水が流れてきていました。

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そのままだと暗渠に泥が流れ込むので、高植えした土盛りには、土中から出た石を積む。
あるもので何とかすることは、いつもの庭づくりでやっていること。
普段やっていることを公共でも活かせばいい。
それだけのことです。

個人の庭と違い、設計・施工が分離発注される公共工事では、設計書の仕様に従うのが施工業者の責任。
でも、図面と実際の現場は違い、生きた木と動かない紙の上の木とではまた違う。
そのままでは木が育てないことが予想される時、予算内であれば、ある程度の臨機応変や融通は、いかに公共工事でも利く。
そのまま植えて、検査を合格させてお金をいただいてそれで終わり。でいいのか。
その後に木が傷み、枯れていくのを、見て見ぬフリでいいのか。
それが、木を植える植木屋の仕事なのか。
私はそんな自分を許せないので、ダメもとでも、行政や元請けさんに提案する。
それで仕事を切られるのなら、それまでのこと。
そんな付き合いだとあきらめればいい。
でも、やるだけやって木が生きれるなら、それに越したことはない。
俺たちは、木を生かすために植木屋をしているのだ。

植木屋の側から提案できることはたくさんある。
木が生きるということに、個人庭も公共造園も関係ない。
時代は進歩している。
今年学んだことを、またどこかの現場で活かせるかもしれない。
さらに学び、そこに合わせた工夫を凝らしていきたいと思います。

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よくここまで大きくなった。
支柱が外れれば、君たちはもう大人だ。
大地にどっしりと根を張り、あの山と繋がる風景になってくれ。

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