杜の木漏れ日

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山の木の尾根式植栽

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自宅近くの里山です。
山並みが白く雪化粧すると、尾根のラインがくっきりと現れます。
葉を茂らせた夏には見ることのできない、冬の楽しみ。
実は、こんな白い稜線が大好きなのです。
雪国では当たり前の景色ですが、雪国でしか見れない、とてもぜいたくな景色。

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こんな尾根を見ると、思わず歩きたくなります。
緩やかに続く流線形の尾根と山道は、離れて見ても歩いてみても、とても気持ちがいい。
この気持ちよさは、いったいどこから来るのでしょう。
きっと、自然界がつくりだ造形のラインや、山を必要以上に壊すことなく、地形に合わせて道をつくった先人の優しい気持ちが、心を穏やかにさせてくれるのかもしれません、

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そんな尾根の雪も、だんだん融けてきました。
長い冬を超え、ようやく訪れた春の兆しですが、嬉しいような、ちょっと寂しいような。

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さて、ここ数年、山の木を使った庭をつくる時に参考にしているのが、この尾根際の木々の有り様。

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勝手に「尾根式植栽」と呼んでいますが、こうした植え方を意識したのは、雪国特有の根曲がりの木は、山と同じく傾斜地でなければ持ち味を発揮できないことから、庭に山の木を植える時はそんな舞台づくりをしてあげたいと思ったからでした。
山の木は山にあるように植える。
そんな景観を意識してのものでしたが、ある時から、地上の雰囲気だけではなく、木が育つ条件も山と同じようにしてあげた方がいいのではないかと思うようになりました。

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尾根のように植えるということは土を盛って高く植えるということですが、こうした植え方は表面や地中の排水も良くなるので、木の生育にもいいのです。

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上記二つの写真は地元の公園の木々ですが、上の木は上部の枝が枯れ込み、下の木々はのびのびと育っています。
同じ敷地に植えられながら、なぜこんなにも生育に差が出てくるのか。

これは、造成地に植栽された樹木によくあることですが、上部の枝が枯れるということは、土中の深い所の根があまりいい状態になっていないということです。
原因としては、上の木は駐車場内にあることから、重機などで地盤が締め固められており、土が硬くて根が十分に張れない状況にあることが考えられます。
土が硬いということは水が浸透しづらいということで、雨と共に地中に入る酸素が根に届きにくいということ。
また、地中の深い所の土壌が粘土質であることも考えられ、帯水による根腐れの影響もあるのかもしれません。
反面、広く盛土された部分の木は生育も良好で、枝枯れもない。

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これは、地元の自然公園を流れる沢の周辺ですが、水気がある所でも、木々は良好に育っています。
表土の下はゼオライト(凝灰岩)の岩盤ですが、水はけがよく肥料持ちの良い所に加えて、傾斜地は水がたまらず、水が常に動いていることから、土中に適度な酸素供給が行われているようです。

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こちらは、上の沢を参考にしてつくった庭。
流れではなく道になっていますが、雨が降れば、ここが雨水の通り道になります。
山の稜線を意識した起伏のある道は、適度に曲がりくねることで、雨水が一直線に走るのを防ぐ。
これも、ふるさとの山の有り様から学んだやり方です。

既存地盤は砂なのでもともとの排水もよく、耕運して土中に空気を入れながら、持ち込んだ良質土と撹拌、土同士の馴染みを良くしていきました。
作庭後7年になりますが、年々、良い状態になってきています。

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こちらは七座山の尾根ですが、自然の山の状態は、本当に理にかなっていると感じます。

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尾根の道筋脇に、樹木の根がむき出しになっていました。

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よく見ると、無数に走る根の下からは風が吹き上がってきていました。
こんな所にも、山の木が育つ秘密があるのかもしれません。

排水や土壌の改良、そして通気改良が、これからの庭づくりでは大切になる。
そんなことを思わせてくれる尾根際の景色です。

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ということで、地盤造成が始まった庭づくり。
山からのしぼり水が豊富な粘性土質ですが、水に逆らわず水を活かし、もともとあった山の状態を再生していければと思います。

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