里山に溶け込む風景をつくる

3月初旬に着工した庭が竣工。
小雪舞う季節に造成を始めてから2か月、新緑の時期のお引き渡しとなりました。







里山にある木の家。
とてものどかで優しい、日本の風景です。
[木と木があって林ができる。『木』の家に『木』を植え、家の外にも『木』があれば『森』。」
これは、弊社HPのトップに書いてある言葉ですが、古材を活用した木の家に山の木を植え、周囲の里山と繋げることを考えました。



沢を掘って地水を呼び込み、掘った土を盛り上げて山にする。
粘土質の土でも捨てずに改良し、土地で育つものを植える。
庭というよりは山。
石組は無いけれど、土の起伏が変化をつくる。
土留めの石積みは無いけれど、土が崩れて止まった角度にすれば、山は崩れない。
角度が強ければ、剪定枝を束ねて土を留め、枝の中から水を浸み出させる。
目隠しの塀は無いけれど、周囲に盛った土の山と、これから生えるススキが塀になる。
庭というよりは、山で行うような仕事。
自然界が行う造成を取り入れた庭づくりでした。

写真は、今回参考にした沢の流れ。
自然勾配の地形は地表や土中の水はけがよく、雨水や地下水が自然に流れていく所は樹木もよく育つ。
そんな自然地形や植生の様子を参考に、里山に溶け込む風景をつくることを目指しました。
無剪定で育てた自然木を山の植生のように植えれば、木が木なりに育っていく。
寒さや雪で鍛えられた樹木には雪囲いも要らず、障るものが無い所では剪定も不要。
今後も、樹木には極力手を入れず、自然遷移に任せていきましょう。

雑木林に包まれた家で、小鳥のさえずりを聴きながら暮らしたい。

削られた里山を再生したい。
今回の仕事は、そんなお施主さんの、夢と願いを形にするためのお手伝いでした。
再生途中の土に草が生え、葉が落ちれば、徐々に雑木林の風情が増してくることでしょう。
夢の完成はこれから。
木々の成長と共に、少しづつ、里山そのものになっていくことを願っています。


完成後、木の名前を書いた札をお持ちし、ご家族とともに取り付けました。
※下記は、今回の作庭の関連記事です。
山の木の安定 山の木の尾根式植栽 庭のイメージづくり 掘り取り いよいよ植栽 水を受け流す工夫2 水を受け流す工夫1 森のパイオニアたち
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