杜の木漏れ日

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公共造園への提案(適切な植栽支柱について)

6月に、市内の公園で見られた植栽支柱について、植えられた樹木より支柱の方が大きかったため、景観向上のための改善を提案していました。
公共工事は安全第一。
市民生活と密接する公共地では、倒木事故を防ぐ配慮は不可欠ですが、必要以上に大きな支柱は景観を阻害し、樹木の健全成長を阻む元にもなります。
美観を重視する庭ではあまり見られないことですが、公共造園ではこれが一般的。
「造園」のことを「ランドスケープ・アーキテクチャー;landscape architecture(景観創造)」と言いますが、 樹木を植えることは良好な景観を創ることでもあります。
主役(樹木)より脇役(支柱)が目立ってしまうのでは本末転倒。
樹木の生理や景観には個人庭も公共造園も関係なく、美意識や樹木の成長を思いやる心があれば、マニュアル通りではなく、その木の個性や周囲の景観を考えた取り付け方がなされるはずです。

このことは、9年前に行政に話し、自前で支柱の講習会を開いたり、公園支柱の手直しや撤去などのボランティアを行ったりするうちに、実際の公園工事に活かされるようになってきていました。
そうした経緯をお話しさせていただいたところ、公園オープンが間近となった最近、植栽支柱の改善が行われたようです。
園内には30本程度の桜の木がありますが、ほとんどの支柱が樹木よりも小さくなっており、全ての木に対して点検対処が行われたのでしょう。


公園支柱1 (4) 
公園支柱1 (3)

公園支柱1 (2) 公園支柱1 (1)

一般的な公共植栽に見られる支柱の仕様は、国等が定めるマニュアルに沿ったものなので誤りではありませんが、それを踏まえた上で、樹木や景観に合わせて行うことが大事。
能代市がそれを行うということは、国を越えるということで、能代方式、あるいは、能代モデルのやり方で行うということでもあります。
支柱を短くするなどということは、大きな工事の中ではとても小さなことですが、これによって景色が一変する。
提案を採用いただいたことに心から感謝し、こうしたことが共通の仕様として、今後も活かされていくことを願っています。

公園支柱1 (5)

こちらは、庭園専門誌の「庭79号(1991年5月号)」ですが、この本の111ページに公園についての座談会があり、支柱の畑と化した公園の写真や、そうしたことの問題提起が語られています。
25年も前から指摘されていたことが、全国では今だに行われているという現実。
街路樹のブツ切り然り、庭ではありえないことが、公共造園では当たり前のこととして行われる。
これは、公共工事の発注者である行政や、造園設計を行う業者の景観意識が向上していないということです。

こうしたことは、専門知識を持つ者、実際に樹木と接する者が声を上げていかなければ変わりません。
専門であるということは、そういうことだと思っています。
今冬のブログに、「植木屋にできること 」という記事を書きましたが、自分の仕事でも仕事でなくても、植木屋にできることはあり、それが社会貢献となる。
見過ごせば、自分のふるさとの木々が傷んでいくだけです。
工事で木を植えれば終わりではなく、木は植えた時からが始まり。
そこで木は成長し、私たちと共に生きていくのです。
樹木が健康に育ち、緑美しいふるさとの未来に繋げるためにも、小さなことをしっかりやっていこう。
この公園が、みんなに愛される公園になることを、心から願っています。

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