杜の木漏れ日

ARTICLE PAGE

ドウダンツツジの透かし その後

2年前の今頃、玉ドウダン(ドウダンツツジ)を「透かし」に直していました(参照ドウダンツツジの透かし)。

ドウダン透かし 1

剪定前の写真を再掲します。
手を入れる前は丸く刈り込まれていた1mぐらいの木。
背景が少し寂しかったことから、徒長枝をそのまま伸ばして背丈を高くし、目隠しの役目を持たせることにしました。

ドウダン透かし 2

剪定後。
「刈り込み」という剪定法は、枝の萌芽を促して枝葉を密生させ、整形樹形にボリュームを持たせるやり方ですが、混み合った状態で枝を伸ばすと枝がか細くなり、雪や風で折れやすくなります。
高さを出すということは風の抵抗も高まるということなので、多少の枝抜きを施して内部に空間をつくり、採光や風通しを良くすることで枝の強度を高めていきます。
刈り込みの木は枝が絡み合っているため、そうした「絡み枝」を『野透かし』の要領で抜いていきますが、一度に枝を抜きすぎると不定芽が大量発生し、互いに絡むことで支え合っていた枝が倒れたりということも起こります。
樹形変えは一回にしてならず。
剪定量を加減しながら、段階的に手を入れていきます。
刈り込み物は内部に枯れ枝が多いので、それらも剪定。
時間にして、1時間程度の作業です。

ドウダン透かし 3

2年目の冬。
もともとの樹冠(丸い形だった頃の姿)から1.5倍ほどの高さに成長しました。
樹形を整えることはせずに、前年に残した絡み枝を付け根から数本外すだけ。
所用10分程度の作業。

ドウダン透かし 4

そして、3年目の今年も軽く枝抜き。
ひょろひょろだった枝が徐々にたくましさを増し、のびやかな姿になってきました。
樹高も人の背丈程度になってきたので、目隠し効果もかなり出てきています。
目線の高さに枝葉の混んだ木があると圧迫感を受けますが、透かしで適度な空間を作っていると目線が抜けるので、そうしたこともありません。

DSCN9427.jpg

裏側から見ると、枝の流れや内部の空間の様子がわかります。
丸くて背の低かった木が、すらっとした株立ち状の木になってきました。
玉物の刈込は、上に伸びようとする樹木の力を抑える方法ですが、ここではそれを抑えずに、上に伸ばしてあげています。
外側から細かく手を入れると時間が掛かりますが、枝抜きは木の裏側から行うので、時間の短縮にもなります。
手を入れる時間が短くなるということは植木屋の掛ける手間が少なくなるということで、経済的な管理ができていくということでもあります。

今回は、所要5分。
年々手を入れる時間が掛からなくなってきています。
透かしは手間が掛かると思われがちですが、目指す形になれば仕上がりも早い。
そして、このドウダンの目指す形は「自然樹形」。
丸い形になる前の本来の姿に戻してあげること、木がのびのびとして、そこでなりたい姿にしてあげることが目的です。

ドウダン透かし 5

こちらは、3年間の枝の生長を表したもの。
作庭後何年も経つと、木が大きくなったり枯れるものも出たりと、いろんなことがあります。
そうした時、毎年同じ手入れを繰り返すのではなく、状況に合わせて樹形を庭に合わせていくということも大切なこと。
「切る」のではなく、「伸ばす」ということも庭の手入れのうちということです。

このドウダンの上に差し掛かるモミジの枝も、剪定せずに右方向に張り出させています。
数年後に家から見た時、ドウダンとモミジの枝が織りなす緑のカーテンができていれば素敵。
その状態を理想として、少しずつ手を入れていければと思います。

Comments 4

福岡 徹  

NO NAMEさまへ

アドバイスをいただきましてありがとうございます。
記事の中に、木を大きくして目隠しの役目を持たせると書いていますが、それがこのドウダンの「適材適所」ということになるでしょうか。庭も広く、上空には支障がないので、どこまで高くなってもらってもかまいません。最終的には剪定をしなくてもいいぐらいになってもらいたいと思っています。
私はあまり、剪定の腕を見せたいという気持ちはなくて、樹木が無理なくそこで生きやすいような手助けをしてあげられたらいいのかなと思っています。こちらは雪国なので、この時期のドウダンは、ほとんどが雪囲いされています。それがここでは、雪囲いが要らない。木が、雪を受け流せる姿になってきているからです。
山の中の木は誰も剪定してくれないし、雪囲いもしてくれません。それでも丈夫で、美しい姿をしています。樹木が山の中に育っているような姿が庭でも理想。雪深い寒冷地では、その地の気候風土に適っていないと樹木は生きていくことができません。冬場に養生しなくても木が健康に育てる。そんなことも、雪国の庭の在り方です。

2016/02/04 (Thu) 19:33 | EDIT | REPLY |   

NO NAME  

返信ありがとうございます
刈り込みをバラして透かしに直すのは賛成です!
適材適所でそのバラした木を大っきくするのも小さくするのもその場の雰囲気しだいだと思うので実物を見ていないのでなんとも言えませんが…
剪定の腕の見せ所は長く良い景色を維持管理をする事だと思うので
ドウダンの素直な枝だけを残していっても最終的には剪定に行き詰ると思います
広い庭の場合でしたらこの剪定の仕方でもいいと思うのですが
町家や団地の狭い空間の剪定や維持管理にはむかないと思うのですが

2016/02/04 (Thu) 18:41 | EDIT | REPLY |   

福岡 徹  

NO NAMEさまへ

はじめまして。
丁寧にブログをご覧いただきましたこと、感謝いたします。
ご同業の方とお見受けいたしますが、自分の居場所で素直にのびのびとできるのは、人も木もうれしいものではないかと思います。透かしも刈り込みも、植木屋なら出来て当たり前ですが、一般の方にはそれが難しい場合もあり、そうした方のお手伝いをさせていただくのが、私たち植木屋の仕事だと考えております。
施主さまのお庭の木ではありますが、こうして樹木の成長を記しておくのは、子供の成長をアルバムで見るような感慨があります。植木屋にとって、手を入れる木はわが子と同じ。子育てする中で、親が子から親として育てられていくように、私もわが子である木から、植木屋として育てられていると感じます。これからも、謙虚に、「共育」の思いを持ちながら、庭の木たちと接していければと思います。
この度は貴重なコメントをいただきまして、誠にありがとうございました。機会がありましたら、ぜひまたお立ち寄りくださいませ。

2016/02/04 (Thu) 16:58 | EDIT | REPLY |   

NO NAME  

3年間素直に伸ばしただけの
剪定はどこの業者でもできるよー(笑)

2016/02/04 (Thu) 15:48 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply