街路樹サミットに参加して 中 (地元紙寄稿記事)

街路樹サミット 中  鏡
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地元紙に掲載となった「街路樹サミットに参加して 中」です。
講演で使用したパワーポイントの画像とともに、原文をご紹介します。
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街路樹サミットに参加して 中

5中ー➀

基調講演「街路樹が教えてくれたこと」~地方都市の街路樹改善の一例から~
江戸川区の方式は、緑の専門部署が管理する大都市の先進例。正反対の事例として、私が一般的な地方都市の例を紹介しました。
2005年の冬、母親の実家近くの街路樹が木では無い姿になったことに驚き、せっかく植えた木を大切にしてくださいと、当時の市長さんに手紙を書きました。
その後、樹木の生理や景観に配慮したやり方を行政に提案、そのための実践として、街路樹の奉仕剪定や点検観察、落ち葉掃除などを自発的に行う中、若手庭職人の有志で行政や市議会向けの勉強会を開き、正しい樹木管理の在り方を現場と理論で示しました。
その年、真夏に木蔭を作れない街路樹への疑問を書いた市民投稿を機に、市議会や地元紙が問題提起、一気に故郷の街路樹は改善へと向かいました。
手紙を書いてから4年目のこと。ようやく思いが届き、街の木は木らしい姿に戻ることになりました。
街の木の惨状を救うのは「市民の声」であり、木を知る専門者の提案と実践で理解が広まります。
そして、正しいことを本気でやれば世の中は変わる。
そんなことを、やさしい樹形になった木々を映しながら報告しました。

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下記は、街路樹の活動を通して、木々から教えてもらったことなどです。

〇街なかの「自然樹形」はどうあるべきか
従来の街路樹には「高さや四方の枝を揃える」という整形的な概念があり、それが不自然な樹形を生み出す原因のひとつ。
「街なかの自然樹形」を考えるカギは字の如く「自然」の中にあり、「自然樹形」とは、「自然界の樹木が生えた場所の環境に適応していった姿」のこと。
自然界にも樹木が楽に暮らせない制約があり、崖の下にある木は崖側に枝を伸ばせず、森の木は、風によって外側の木の丈が低く抑えられ、日の光が届かない内側の木は下枝が無く背が高い。
同樹種同樹齢の木でも生えた場所で高さや形が違い、そうした木の集合で森はこんもりとした姿になる。
これは並木という「森」でも同じこと。樹木の個性や個体差を無視して画一的に整えると、そうはなりたくない木が反発して樹形を乱す。
街路樹には電線や車、建物など、自然界と同じく制約がある。
違うのは、自然界の木が時間を掛けて環境対応していくことに対し、人間社会との共存が求められる街なかではその時間が短く、「剪定」という手段を使って、無理のない時間短縮を手伝ってあげなければならない。
自然界の樹木の有り様を見ることにより、「街なかの自然樹形」が見えてくる。

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新聞2
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〇発想を変える
「桜日本一」の弘前公園は、「桜切るバカ」の常識や「ソメイヨシノの寿命60年説」を覆したと言われている。
旧来の概念に縛られず、オリジナルに高めていった努力が日本一たる由縁。これは街路樹にも言えることで、「自分の街方式」を編み出すことが大切。角
館には、屋敷の木を街路樹として観光に活かす武家屋敷通り(新日本街路樹百選)がある。銀杏並木で有名な神宮外苑では街路樹を祭りにし、田園調布や五城目町では木蔭のトンネルを楽しんでいる。
街路樹に「楽しみ」を持たせれば、マイナスをプラスに変えられる。地
域にまつわる物語を付加価値として、街路樹を『街の名物』にすることを考えたい。
たとえば二ツ井の市日通りの銀杏並木。「連理の銀杏」を周回すると良縁が実るという銀杏山神社の言い伝えと、きみまち阪の「恋文」。左右のイチョウ並木を男・女に見立て、枝が伸びて繋がるとハート形のトンネルになり、『恋理の並木道』が完成する。
発想の転換で、街路樹は活性化にも活かせる。

新聞3
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〇街路樹の理想は木と人の「共守」
私のふるさとは山間の小さな集落。「向こう三軒両隣」を越えて行う雪かきや、住民奉仕で行う公園の手入れ。田舎には『お互いさま』の精神や会話があり、それが『おかげさま』の心へと繋がる。
街路樹は「市民の共有財産」であり、地域の公園と同じ『みんなの庭』。
行政に苦情を言う前に、なぜここに木があるのかを考えたい。
街路樹には「市民を守る」という大役があり、能代の街路樹は大火の防火対策として植えられた。
街なかには、火から守ってくれた木々への恩を忘れない市民の熱望で、国道を曲げて残した街路樹もある(けやき公園)。
樹齢300年の日本一のケヤキ並木は今、世界遺産の街で『世間遺産』となっている。
藤里町大沢地区には見事なケヤキ並木があり、家々の庭に数本ずつある木が集落全体を守る防風林となっている。
個人の庭にある木々が『みんなの並木』になっているのだ。
木は人を守るために植えるもので、守ってもらうには、人も木を守らなければならない。
人と木が互いに守り合う『共守』の関係が、街なかでも築かれることを願う。

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以上、雪国秋田の自然や田舎の暮らしぶりを、雪の無い東京でお話してきました。

                           能代市二ツ井町 福岡徹 (福岡造園代表作庭者)

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