杜の木漏れ日

ARTICLE PAGE

橋を渡る庭

Wtei (1)

施工中の庭が完成、無事、お引き渡しとなりました。
植栽は、地味のある自然な雰囲気に。
アプローチは、モダンで明るく。
そんなイメージでつくらせていただいた庭です。

Wtei (7,1)
Wtei (7)

施工前と施工後。

160623_165147 - コピー

雨水がたまりやすい敷地、軒先から自然勾配の枯れ流れを作って排水路とし、途中途中に浸透させながら、余剰水を庭奥まで誘導する仕組みです。
冬季の落雪を考慮してアプローチを迂回させていますが、除雪がしやすいようになるべくフラットに、屋根下には木を植えずに、雪に逆らわない構成としました。

Wtei (3)

軒下の雨水は石橋を潜り、奥へと誘導されますが、水を一気に流すのではなく、蛇行しながら緩やかに。
護岸は、お手持ちの苔や石積みで出入りを付けたので、変化のある景色になりました。

DSCN0102.jpg

枯れ流れの高低差は、始点と終点で約30㎝。
植栽部分は尾根状に高植えしているため、川底との最大差は約50㎝あります。
奥行きの狭い庭ですが、できる限りの地形落差をつくり、水が停滞しないような工夫をしました。

Wtei (2)

駐車場とアプローチの繋ぎ。
コンクリートに曲線を持たせてもらったおかげで、庭に広がりが感じられるようになりました。

kyoku.jpg

全景。
全面をコンクリート打ちにすると、水の逃げ場が無くなり、庭に水が停滞します。
打設前であったことから、敷地境界の縁石との間を少し開け、水の逃げ道を作ってもらいました。
敷き砂利とのコントラストでメリハリも付き、曲線の美しさが明確に表れたようです。
提案を受け入れてくださった建築の方、お伝えくださったご家族に感謝です。

Wtei (6)

駐車場の床掘の土と流れを掘った土で作った芝生の山。
グライ化した硬い土は空気に触れるとほぐれてきますが、一か月近く放置の後、現場発生の山砂と混合し、芝生の山としました。
庭の背景にもなる、残土利用の山です。

Wtei (9)

植栽は、ヤマモミジを中心に、土地の自生種を多植。
雪国の木は、雪に強く、雪を受け流す術を知っています。
自然樹形なので、剪定も最小限で済み、雪囲いも不要。
管理に経費が掛からない分、土中の通気や浸透改善に力を入れ、樹木が将来に渡って健康に育てる環境づくりに配慮しました。

Wtei (10)

リビングからの眺め。
植栽のおかげで庭に葉蔭が降りるようになり、塀越しに見える家々も少し隠れるようになりました。
風にそよぐモミジの枝先を見ているととても心地良く、なんだかうとうととしてきます。
樹木が成長すれば、庭の木々と山並が繋がり、山の景色を庭に取り込めるようになる。
そして、木蔭が増せば日向との温度差で風が起こり、自然のクーラー機能も見込めるようになります。
そんな、パッシブデザインの効果も、この木々の役目。

Wtei (4)

植栽時にはエゴやガマズミの花が満開でした。
続いてジューンベリーの実がなり、梅雨時の今はアジサイが盛り、これからギボウシも咲いてくるでしょう。
夏になればナツハゼの葉が色づき、やがてツリバナの赤い実がプランと下がり、ムラサキシキブが実を結ぶ。
そして紅葉。
ふるさとの山の木々の魅力を、四季を通して満喫いただければと思います。

akari.jpg

アプローチの曲がりにある石組み。
入口から見るとここがアイストップとなり、庭を見まわしたくなります。
実はこの石組にはソーラーライトが仕込まれていて、夜になると、ほんわりとした灯りがこぼれる仕掛け。
流れの前にあるので、『蛍石』とでも名付けましょうか。
これに誘われて、本物の蛍が遊びに来てくれたら楽しいですね。

DSCN0121.jpg

最後に、アプローチの始点をもう一度。
ここには流れを渡る石橋が掛かっていますが、実は当初の予定にはないものでした。
この石橋は、石張りとレンガの素材の違いを繋ぐクッションでもありますが、近くの神社で見た光景をイメージしています。
その神社はとても珍しくて、参道の入口にお堀があり、橋を渡って入る風情がとても印象的。
ご家族に聞いたところ、昔は船遊びをしたとのことで、そんな地域の光景を庭に取り入れてみようと、枯れ流れに橋を掛けたという次第です。

ふるさとの山の木を植え、地域の風景や文化と繋がる土着の庭。
土地や家に根付く、楽しい庭になってくれればと思います。

Comments 0

Leave a reply